包装紙
今朝、妻が見ていたチラシは、なんだか古ぼけて何年も前のもののようだった。
珈琲を飲みながらその様子を僕が見ていると、妻も気づいて「これあの店の包装紙よ」と言った。あの店とは、僕らがよく買いに行く商店街の小さな八百屋のことだ。
話好きなおじさんがいつも店頭に立っている。買うものが無い時も、その前を通ると呼び止められて、ついつい何かひとつは買ってしまうことになる。おじさんはいつも新聞紙やチラシに、クルクルと器用に包んで手渡す。ある時、妻が気づいた。
「ねぇ、おじさんがくれる包装紙って、なんだかメッセージ性があるのよ、知ってた?」
何かと聞くと、その時妻は市民プールのことを知りたがっていたのだが、たまたまその時もらった包装紙が古い「市民広報」の一枚で、そこにプールの紹介記事があったのだ。
以来、何かにつけて同様のことがあり、僕たちは包装紙を外すと真剣に読むようになった。
「きっと特別な能力があるのよ、あのおじさん」と妻は信じてやまない。
